「 好 き 」

「ん……」



眩しい光が、カーテンの隙間から入ってくるのが見える。



「え…もう朝?」



昨日あのままずーっと寝ちゃってたってこと……⁈



あたしどんだけ眠り深いんだ……。




「って、時間やばい!もう学校行かなきゃだよね」




そう思ってスマホに電源を入れると、
日にちは土曜日になっていた。




「あれ…今日土曜日だっけ」




学校行く準備をしようとしたあたしはベッドに再び寝転がる。




「あーもう…光里がいない生活を1日だけ体験したのに夢にまで出て来ちゃうほど大切な存在なんだなぁ…」




謝りに行こうかな……。




そう思って、一応体温計に手を伸ばす。
測るとなんと………



「37.5度…」



まだそんなに微熱あったんだ…。
もう、分かんないな………



「今日も安静にしておかないと…」



******************


「なーづー‼︎どう具合は」



お母さんがドタドタと階段を上がって、あたしの部屋に来るのが分かる。



ガチャと勢い良くドアを開けられると、
あたしはその音で目が覚める。




「なんだ、起きてたの?」



「今ので起きたんだよ…」



「あぁ、そう。で、具合はどうなの?
熱は?下がった?」



「ううん、さっきまでは37.5度あって微熱だったけど…今はどうだろう」




「だるかったりする?」



「どちらかといえばするかも」



風邪ひいてるからってだけの理由じゃないんだ、本当は。



「そっか…じゃあよく寝ときなさいね」



お母さんが気を遣ってか、あたしの部屋から出て行こうとする。



でも、あたしはそんなお母さんのことを呼び止めていた。



「お母さん、待って‼︎」



「ん?」



「…大事な友達と、ケンカしたの‼︎
あたしが…一方的に責めちゃって…」




こんなことお母さんに言っても、どうにもならなそうだけど軽くしたかった。



「その大事な友達って…光里ちゃん?」



「えっ…なんで分かるの?」



「うーん…熱出すほどだもんね」



「…え」



お母さんはあたしのベッドに腰掛けて、こんなことまで言ってくる。



「熱で夜中なづ…うなされてたの。
心配になって様子見に行ったら、光里ごめんね…って言ってるからケンカしちゃったのかなって思ったのよ」




「そう…だったんだ」




お母さん、知ってたんだ…。
いや、知っちゃったに近いか。




「大丈夫よ。光里ちゃんって優しい子じゃない。そんな深く考えなくても素直に話し合えば分かってくれるわ」




「うん…そうだよね…。
よし‼︎あたし月曜日、光里と話してみる‼︎
ありがとう、お母さん‼︎」




「ううん〜じゃあゆっくり寝なさい
月曜日までにちゃんと治すのよ」




「はぁい」




お母さん、ありがとう……