「 好 き 」

「えーっと…なづ?」



帰り道、あたしが光里と一緒に並んで歩いていると光里が申し訳なさそうに話しかけてくる。



「…なに?」



「あっ…いやさっきのこと気にしてるんだったらごめん…」




本当に悪く思っている様子で、光里はその場で俯いてしまう。



あ……
光里にこんな顔させてんのはあたしだ…




「…違うの」



「え…?」



「光里にあたしは何でも話してるけど、光里はちっとも何も言ってくれないじゃん…」




「や、だからそれは…」




「光里がそんな顔してんのもやだ。
全部あたしのせいなのもやだ」




その場にあたしは立ち止まると、
ついつい気持ちがこぼれてしまう。



莉子ちゃんの事とか、葵くんへの想いとか良くしてくれる須崎くんに対する想いとか。



一気に弾けて抑えられない。




「じゃあ、私はどうすれば…」



「本当は話してほしかったけど…っ
全部言えなんて決まりはないけど…でも!光里が何も言ってくれないのが1番やだ…っ」




あたし、本当に光里の親友だよね?
前だって何も言ってもらえないこと沢山あった。



でも、意地悪で言わないんだって思ってない。



そんなことするような子じゃないから…




「あたしは光里の親友だよね…?」




ついつい聞いてしまう。



ハッとするけど、もう遅くて……。




光里は今にも悲しそうな顔で、あたしの横を通り過ぎて行ってしまった。




******************


「こりゃダメね〜…今日は学校お休みしておきなさい。連絡しとくから」



「…うん」



「ちょっとやだ、何なづ学校行けなくてそんなに悲しいの?」



「えっ⁈
いや、そういう訳じゃなくて!」




お母さんにまで勘違いさせられるほどあたしは深刻な顔をしていたらしい。



まぁ、元とは言えばあたしがあんな所で拗ねるのがいけなかったんだよ。



だれにも言いたくない秘密なんかあるのに、なんか寂しかったから……。




いつの間にかお母さんはあたしの部屋から出て行ってしまっていて、下の階から話す声が聞こえていて、なんだかその声がすごく落ち着いてしまった。