「 好 き 」

葵Side.


小鳥遊さんってあんな人だったんだ。
いつも綺麗な人だと思ってた。



『もうっ!うるさいなっ!葵くんのこと悪く言わないで!』



『そっちこそ何よ!朝葵くんに言われた腹いせでやってるわけ⁈
ホントにやることが子供だね!』




『あたしそういう人が一番だいっきらい!』




さっきあった出来事を頭の中で何回も何回もリピートしていく。



本当に嬉しかった。
俺のためにあんなになって怒ってくれる人なんか今まで探しても出てこなかったから…。




いつも小鳥遊さんは園田くん、って呼んでたのにあの時だけ葵くんって呼んだ。


深い意味はないって言ってたし、きっと無意識で呼んだんだろうけど。



「はは…これ以上好きにさせないでくれるかな」




その呟きは実行委員長が怒鳴ったおかげて小鳥遊さんにも誰にも聞かれることはなかった。




葵Side.end.