「 好 き 」

「じゃあ、もう予鈴なるから自分の教室戻りなさいっ」



「えぇぇぇ〜‼︎」



莉子に腕を引っ張られて、
3組の教室から引っ張り出されていく。



あ、あたし達は1年3組の高校1年生。



みんな仲良くやってると思う。多分…




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「莉子ちゃん、美咲ちゃん」



「んー?」



「どうしたー」



「これって、光里が朝忘れてったハンカチっぽい…」




ハンカチを莉子ちゃんと美咲ちゃんに見せると、二人とも呆れた…って顔をしてこんなことを言った。




「じゃああたし達で4組行って光里に届けに行ってこよ‼︎」



「いいね、その提案‼︎
さすが美咲〜」



「え…あ…」




…二人とも葵くん目当てでしょ



4組行く子なんて、だいたい葵くんに会いに行ってるし…



この2人も絶対そうだ…



あっ…今は昼休みだから
いるかどうかは分からないけど…




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「ひっかり〜‼︎」



莉子ちゃんがドアを開けると、
光里はこっちを振り返る。




「あ、なづ達。どうしたの?」



あたしは、2人の間から光里に近づく。


教室に入ろうとすると、
光里が近づいて来たからやめた。




「これ、朝忘れてったでしょ」



「あー‼︎
私のハンカチ‼︎
なくて困ってたんだよね〜
どこにあったの?」




「あたしの机の前の人が、拾っててくれたみたいであたしにさっき届けてくれたの」




「そうなの⁈
なんて優しいのっ
ありがとー‼︎」




光里はあたしの頭を子供のように撫でる。




「……………」




嬉しくないわけでもないけど…ね