「 好 き 」

もう、無理かもしれない。



あたしが葵くんのことを好きでいても
もう無駄なんだ。



あの二人は付き合ってる。
それは誰もがみんな分かってることでしょ。



なのに、どうしてあたしは
葵くんを嫌いになれないの………?



それに、どんどん黒い感情が浮き上がってくるのが分かるんだ。




「…こんな自分が嫌だよ」




須崎くんの隣で泣くあたしは、
本当に弱虫で。




いつからこんなに弱くなったんだろう?



あたしはこんなに弱かったっけ?
ちがうよね………




「なぁ小鳥遊」




「なーに?」




「たまには素直な気持ちぶつけても良いんじゃねぇ?」



須崎くんからの突然の言葉。
素直に気持ちをぶつけろ、という。




「え、それってつまり…」




「あー告白とかじゃなくてよ?
菅浪さんに対して、って意味な!
菅浪さん、小鳥遊が園田のこと好きだって知らないんだろ?」




片方の眉を下げながら問いかけて来る須崎くんは悪気もなく聞いてくる。




知らないんじゃなくて、もう知ってるし
きっと気づいてるはずなんだ。


…いちばん最初に。




「ううん…言わない。
言ってもあたしが傷つくだけだもん」




もう傷つくのは嫌だよ。
何回も何回も傷ついて、あたしの心はズタボロにされていく。



葵くんにも、莉子ちゃんにも…



あたしの心はどんどん削られて行く。




「でもな、小鳥遊。
これだけは言えるけど…」




すると須崎くんは、その場から立ち上がって、あたしの前にやって来る。




「言ってくれなきゃ分かんねぇよ?
心が読めるヤツなんていないんだから。
それに隠されてた側にとっては、もっとショック受ける」




あたしに言ってるのか、
それとも他の誰かにいってるのか
それは分からないけど……




須崎君の言う通りなんだ…。
言ってくれなきゃ、人は理解することができない。




そういう生き物だから。




「だから、正直になってぶつかることも有りなんだよ」




最後にはフッと笑顔を見せる。




「うん…」




でも、あたしはもう傷つきたくない。




そんなことを考えるあたしは臆病だ……。