「 好 き 」

「あれ…?園田?」



園田…………?
葵くんがそこにいるって事?




急に心臓が嫌な音を立てる。




鼓動が早まって、あたしはその場所にいたくなくなってしまう。




「え?お前らって付き合ってたっけ?」




ってことは、莉子ちゃんもいるってことだよね…




「す、須崎くん‼︎」




「え?小鳥遊?」




「ここじゃないところ行こう…?
ごめん、あたしから誘ったのに」




「おー…」




不思議そうな顔をしながら、須崎くんはあたしの後ろをついて来る。




どうりで最近莉子ちゃんは教室でお弁当を食べていないと思ってたんだ…。




その理由は、葵くんと食べてたからなんだね………。


言ってくれればよかったのに。




そう考えてるうちに、屋上の出口に差し掛かる。




でも、あたしの目からは一筋の涙が流れ出す。




急いで袖で拭うけど、次から次へと流れ出て来て止まる気配が全くない……。




「…小鳥遊、どうした?」




心配したような顔で近寄って来る須崎くん。




「…っごめっ…」




「小鳥遊……」




あたしの背中をさすりながら、
須崎くんは空き教室へとあたしを促す。




******************


「んで、何があった?」




少し収まったところで、あたしにそう問いかけて来る須崎くん。




もう予鈴もなってるから、戻らなくちゃいけないのに須崎くんは戻してくれなさそうだし、話さなきゃだな……。




「本当はもう分かってたことなのにな…
葵くんは莉子ちゃんの彼氏なのに」





無意識にこぼれていた言葉に、須崎くんがびっくりした顔をする。




「…小鳥遊の好きなヤツってもしかして……」




「うん、そのもしかしてだよ…」




苦笑いしながらあたしは須崎くんの顔をゆっくりと見る。




「…大丈夫なのか?
園田はその…彼女いるし」




「うん、知ってる。
あの子あたしの親友だから」




「は⁈
まじかよ‼︎」




びっくりしすぎだよ、須崎くんは…。




でも、本当はあたしが………