「 好 き 」

「あの、莉子ちゃん…」



「……」



実行委員に行く前に、
言いたいことがひとつだけあるんだ。



こんなこと言っても無駄かもしれないけど…少しでも響いてくれるなら。



「あたし、あたしね…」



本当はこんなこと言うの怖い…。

でも、葵くんと莉子ちゃんの幸せを願うことが唯一あたしに出来ること。



だから、あたしはこうするしか…
ないんだ………。




「葵くんと幸せになってね」



「は……」




拍子抜けと言っても良いような間抜けな顔をしている莉子ちゃん。



まさか、あたしの口から葵くんと幸せになってって言われるとは思ってなかったんだろうな……。



まぁ、あたしが出来るのは好きな人の幸せを願うことだけだよ…。




これがあたしの話。




「なづ……それ本気で言ってるの?」



「…うん。本気に決まってるじゃん‼︎
あたしは莉子ちゃんに幸せになって欲しいから…」




ちゃんと笑えてたかな…。
引きつってないかな…。



「…まぁ、ありがと」



「いいえ」



少し素っ気ない返事だったけど、
莉子ちゃんはちゃんと返事してくれたから良かった…。



これであたしは諦めなきゃいけなくなるんだ。



もう、葵くんに恋したあたしに
さよならするんだ。



「じゃあ、あたし実行委員だから
3年生の教室行くね」




それだけ言うと、あたしは教室を出る。



******************

「小鳥遊さん‼︎」



あたしが急いで3年生の教室に向かっていると、前から声をかけられる。




うつむいて走っていたあたしは
パッと顔をあげる。



そこにいた人は………。




「園田くん…」



「あの」



そう言うと、葵くんはあたしに近寄ってくる。




「小鳥遊さん、実行委員?」



「うん、そうだよ」



ちゃんと話せてるかな…。



あたしはちゃんと諦められるのかな。



「俺もなんだ。俺も実行委員だから
一緒に教室に行こ」



まさかの誘い。



あたしの諦めようとした気持ちが、
一気に音を立てて崩れて行くのを感じていた。