「 好 き 」

園田 葵Sied...



俺と小鳥遊さんが出会ったのは、
つい最近のこと。



小鳥遊さんの名前は前から知っていた。



小鳥遊 菜月。1年3組。



小鳥遊さんのことを好きだって言ってる男子は俺のクラスでも結構いた気がする。




俺はそんな小鳥遊さんが気になって気になって仕方なかった。




それに、小鳥遊さんが友達の部活が終わるのを図書室で待っているのを知っていた。




どこの席に座っているのかも知っていた。



実際、図書室の窓際の席だから、
俺が家に帰るときに見えるんだ。



まどの外を見ている姿とか、
たまに友達が来て楽しそうに話してる姿とか。いろいろ見えるんだ。




もう、気になってるレベルじゃなくて
好きなんだと思う。




でも、俺なんかきっと眼中にない。
ただの隣のクラスの人くらいにしか
思われてないんだと思う。




小鳥遊さんは可愛いから、
男子に人気だから…。



モタモタしてたらきっとダメだ。
俺より良い人なんかたくさんいる。



そっちを選んじゃうに決まってんだろ。




「嫌だ、そんなの…。
俺を好きになってくれなきゃ意味ねーんだよ」




一人自分の部屋でつぶやく。



こんな言葉も届かないし、
伝えようともしない。



なんて弱虫なんだ……。




いつも暇があると小鳥遊さんの事だけを考えていた。



本当に重症レベルに好きだ。




「あー…。
誰にも取られたくねぇなぁ…」




………好きだ…。




園田 葵Sied end...