「 好 き 」

「なづ〜」



「わっ‼︎
光里?どうしたの?」



光里が珍しく、あたしの教室にやって来ると、あたしに泣きついた。



「ふっ…っひ…き、聞いて〜」



「なになになに?」



「振られたの〜っ
入学した時から好きだった人に振られちゃったのぉ…」



「…え?
…………………えええええええええ⁈」




あたしのクラスの前の廊下にあたしの絶叫が響く。




「ちょっと、なづ‼︎
うるさいよ‼︎」



「あっ莉子ちゃん‼︎
ごめん〜」



「なづぅぅぅっ
わ、たしもう…立ち直れないよぉ」




振られると、こうなるのか…



てか、好きな人いたの?
まず、そこからなんだけど…




「光里さぁ。
好きな人いたならあたしに言ってよ〜
莉子ちゃんだって、美咲ちゃんだって話し聞いてくれたと思うのに…ね、莉子ちゃん」




あたしのすぐ隣で話を聞いていた莉子ちゃんに話を振ると、莉子ちゃんもすぐ笑顔になって



「当たり前でしょ
話してくれない方が悲しいっつーの‼︎」



って言ってくれた。




「ご、ごめんね…
じゃあこれからは話すようにするから」



「うん、そうして」



キーンコーンカーンコーン………



「あ、予鈴のチャイムだ。
光里もう戻った方がいいんじゃ…ない…」



あたしが光里の肩をグイッと押すと、
後ろから、葵くんが歩いてくる。




「…なづ?」



またあたしは葵くんに見惚れて、
葵くんだけを見つめてしまう。



「なづ‼︎」



「っわ‼︎」



光里があたしの肩を思いっきり揺らすと、心配そうな顔で見つめて来る。



「ちょっと、大丈夫…?
昨日から様子変だよ?」



「えーっと…
まぁ、大丈夫、だよ‼︎
ほら光里は早く戻って」



「えー?そう?
なんかあったら話聞くからね〜」



「ありがとーっ」




そう言ってから、あたしは自分の席に戻る。



「…………………」



なんか、莉子ちゃんからの視線が痛いんだけど………




「り、莉子ちゃん?」



「なづさぁ…
葵くんのこと、見てたでしょ」




「……え」




「無意識で見てるの?
それとも、葵くんが好きだから見ちゃうの?どっちなの?」




「え、そんなの分かんない…
それ以前に、葵くんの事なんか見てもないよ…?」




「ふ〜ん…」




な、なんなんだ…‼︎