「ボクは、今日しか動く事が出来ないんだ、ユウコちゃんと喋れるのだって、今日が最初で最後なんだよお……」
嗚咽混じりの嘆きが、鼓膜を震わせる。
ただの、数年月日を共にしただけの、ぬいぐるみ。
UFOキャッチーで、偶然取る事ができた、大量生産の、ぬいぐるみ。
そこまで大切にしていた訳でもなく、ただ、年がら年中布団の中にいただけの、ただ、同じ空間にいただけの、ぬいぐるみ。
何、言ってるんだろう……。
でも、最初で最後という言葉に、どこか底の知れない寂しさのようなものが感じられて、きゅうっと、胸が締められた。
「……どういうことよ」
とりあえず、事情だけでも聞くか。

