急に手首を捕まえられ、振り返る。



「よぉ、桐谷さん。」




「わぁっ!先輩!どうしたんですか??」




「ん?何でもないけど。」




「なーんだ。あたし、琢磨先輩のバンドいい場所で見たいんで、もう行きますよ?」




「はぁ?なんだよ。琢磨琢磨って……」




「んじゃあ!」




また唯と走り出す。




この時しっかり川野先輩の気持ちを知っておけばよかった。




中庭について一番前の場所を確保する。




「ふぅー、よかったね。みゆ。」



「ほんとほんと!でも、唯も好きじゃん。琢磨先輩のこと!(笑)」




「うんっ!めっちゃ可愛い♥」




「ほんま!可愛いよねーー!」




唯みたいに琢磨先輩のことを可愛いという人は多い。



あたしも、めっちゃ可愛いと思う。




男なのにパッツンみたいな前髪と誰もしないようなふわふわのオカッパみたいな髪型で…………。



でも、可愛いしかっこいい!
(笑)