「き、桐谷さん。ゴホッゴホッ。
かっ、帰ろうかっ………」



「えーー、川野先輩!!ダメですよ!体調崩してるんですよね!」



「いやっ、いいよ。もう遅いから。


……心配じゃんか。」



弱々しい笑顔をみせる。



なんで、無理するのかな?



「あたしを心配して戻ってきてくれたんですか?」



「ブッ……なわけないじゃん。ばーか。」



「そんな事言っても………笑えないじゃないですか……。」



「んな、泣きそうな顔するなって。」



先輩は弱々しい笑顔を浮かべながら隣で咳き込んでいる。



「は、早くかえりましょっ!」



先輩の手を引いて歩く。



「ゴホッゴホッ。だっ、大丈夫だって!」




「いつから居たんですか?」



「ん、お前が琢磨と勉強してる時くらい。」



「えっ………それ、だいぶ前ですよね??」



「んなの知らね。」



「何でもっと早く声掛けてくれなかったんですか?」


「だっ、だって。お前が楽しそうに勉強してたから。」



「はぁ、これだから先輩は……
でも、なんか有り難うございます。」



「お前が琢磨となんか勉強するのが悪い。馬鹿なのかよ。」



「え、いけないんですか?」



「ゴホッゴホッ。もっ、もういいよ。早く帰ろうか。」




先輩はいつもより遅いペースで辛いのを隠しながら歩いていた。