がらっと勢いよくドアが開く
「あ…」
彼女がそこに立っていた。
「あ、見ちゃった?」
何一ついつもと表情を変えずに
にこにこしながらこちらを見ていた。
その笑顔を見て俺は怖くなった。
「これ…」
「うん、私のだよ」
「ガンって…」
「そうなんだよ笑私ガンなんだよ
あとね、余命が一年くらいしかないの。
今三年だから卒業式は出れたらいいんだけどな〜」
えへへと笑いながら言う。
「なにそれ、笑い事じゃないだろ
え、嘘なのか?嘘だよな?」
「嘘じゃないよ。」
急に彼女が真顔になって言った。
「え、みんな知ってるのか?
あの、りっちゃんって子とか…」
「誰も知らないよ。知ってるのは君だけ。」
また、いつもの笑顔に戻り言う。
「だってさ!
病気って言ったらみんな気使うじゃん
そんなの楽しくないじゃん
死ぬ前くらい楽しく生きたいしさ!」
「…へぇ、」
「あれれ?意外と君冷静だな」
「いや、なんかお前らしいなと思ってさ」
「えー?褒めてる?」
「え、じゃ待てよお前頭痛いの大丈夫なのか?保険室やっぱりちゃんと行った方が
良かったんじゃないのか?」
「大丈夫だよ。多分薬の副作用とかだと思うし、何よりこれ以上親に心配かけたくないんだよ。」
彼女のこの言葉がやけに生々しくて
彼女がガンだという事を認めざる終えなかった。
「え、普通にしてて大丈夫なの?」
「ん?余裕。」
あははと声を出して笑う彼女。
笑い事なのかこれは。
「あ、じゃありっちゃんが待ってるから!
また明日ね!!!」
ガン患者とは思えない俊敏さで
彼女は教室を飛び出して行った。