「佐伯~ガムテねぇ?」
佐伯とは心良のこと。
颯斗が廊下から教室へ入ってくる。
私はとっさに仕事をしてるフリをした。
「ほれ」
「さんきゅー」
颯斗が出ていったのを見計らって顔を上げたら目の前にどアップの颯斗の顔があった。
「なに無視してんの」
「は、颯斗!別に無視なんか…!」
「ぷっ…焦りすぎだし。がんばれよ」
颯斗は私の頭をくしゃっとなでると廊下へ戻っていった。
最近颯斗が笑うことが増えて、以前よりもドキドキする。
今だってきっと顔が真っ赤だ。
さっきのモヤモヤだって一瞬で無くなって。
私の心はいつも颯斗でいっぱい。