「そうだ、今日は、私の愚痴、聞いてくれるかな?」


私はそう言ってユズナを見つめた。

なんとなく、ユズナが微笑んだ気がした。



「実はね、私、大事な試験の日にね、後ろにいた男の子がカッコよくてね…急にドキドキし始めたの。こんなの初めてでね。

そして試験も集中できなくて、多分全部落ちた。それがほんっとうに嫌でね。泣きたくてさ…」



自分らしくない。自分の夢を自分で粉々にした。

私は、大学に行く事だけをずっと考えていた。そしてユズナを自分の手で治したかった。


でも、たった一人の男子のせいで私は…試験を真面目に受けられなかった。




「そんな時ね、その人が、話しかけてくれてね。仲良くなったの。天野くんっていうんだよ。

天野くんがいると、ドキドキするの。胸が痛くてね、病気かなって…思ったりして」



天野くんを見るだけで胸がチクリと痛む。

これは病気?心臓の病気?私はそれを考えたんだ。