しばらくすると、静愛さんは学校があると言って病室を後にした。
私は静愛さんが残した紙を見つめていた。
そこには静愛さんの携帯番号が書かれている。
『暇な時、電話してね。迎えに行くから』
そう言って置いていってくれた。
私はユズナの隣に腰を下ろした。もう外は日がギンギンだ。
「ユズナ、もう一度…もう一度、声を聞かせて?」
もう一度返事をしてください、と願いながら話しかけるけど、ユズナは何も言わなくなった。
ユズナから出た言葉は「おはよう」だけだった。
でも、それだけでも私はよかった。
また、前のように戻れるかもしれない。
私は、その日が来るのを願っている。そして、待っている。
