「これは……」
「それはね、ここ3年間ずっと作っていた薬。どんな風なのかは説明が面倒くさいから省くけどね。ユズナのように、感情を消されてしまった人の感情を取り戻す薬。」
感情を取り戻す薬はいくつかあるけど、どれもボツにされていて、患者様には使われていない。
いろんな副作用が出てしまうからだ。結構難しいらしい。
私は、その薬を作りたかった。でも、早いうちに作られてこれはこれで嬉しい。
私は静愛さんに抱きついた。静愛さんは優しく私の背中を撫でてくれた。
「でもね、まだ完全じゃないのよ。これから少しずつ…頑張っていこうね」
私は"うん"と短い返事をした。
