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「誰かと思ったら、キョウタくんじゃないの」

「久しぶり」



天野くんは保健室のドアをいきなり開けて中にズカズカ入っていった。

ノックも、"失礼します"もなにも言わずに。



保健室の先生は驚く顔一つせずにっこりと微笑んだ。

保健室の先生は若い20代くらいの女の人だ。
天野くんはこの人と親しいのかもしれない。



「この子、ユサリさんって言って…風邪気味だから連れてきたんだけど」


天野くんはそう言って私を近くのベッドに優しく下ろして寝かせてくれた。


ベッドの中は柔らかくて、あたたかくてとても心地が良かった。
そう、まるで天野くんの腕の中にまだいるようだ。



「ついに、天野くんも自分の女の子を見つけたのね」

「はは、噂はやめてくださいよ。面倒になりますから」



二人はくすくすと笑った。