「風邪気味…なのかもしれません。私は大丈夫です。」


「いや、保健室。行こうか」


「え?!あ、いやーー…きゃっ」




気がついたら私の体はフワッと宙を撒いていて、天野くんの腕の中にいた。


あの、お姫様抱っこをされていたのだ。


そしてフワッと、香る彼の匂い。
別に、汗臭いわけじゃない、でも、香水の匂いでもない。"彼"のいい匂いだった。



「ぷはっ、ユサリさん、軽っ!!」


「わ、笑わないでくださいよ。ていうか、おろしてください。天野くん試合あるのに…!!」


「俺の代わりに出れる選手なんていっぱいいるよ。それに、キョウタでいい。」



天野くんの代わりなんて…いないに決まってる。

天野くんのように上手い人なんて…。