「佐々木さんって、凄いですよね」

「え…っ?!」



きっと、佐々木さんは負け組じゃない。

ていうか、ここで看護師の仕事をしていることは、百パーセント負け組じゃないのだ。


まだ、私の大学受験の結果は帰ってきてないけど、もう落ちたのは決定だ。
私とは、正反対の人。


おまけに毎日辛い仕事を嫌な顔をせずに頑張っている。



「仕事、辛いはずなのに…。おまけに大学も合格して…私とは正反対ですね」


「…つらいくないといえば…嘘になります。でも、もっと辛いのは、患者様と、患者様のご家族ですから。ユサリさんのような」




そう佐々木さんが入った途端、涙がボワっと溢れ出した。