「こいつは!恋にかかってるの!治療しないと…永遠に苦しむことになる!」


「わかってる!でも…いいの?ユズナさんのようになっちゃうんだよ。シンが……。私は、そんなの…嫌だ」



メグの言葉に私は息を飲み込んだ。

ユズナ…。


苦しくてしかたがなかったユズナは、今は幸せなんだろうか?

もう苦しんでいないユズナは幸せだろうか?



いや、そんなはずはない。

ユズナの人生は恋にかかった時点で壊れたんだ。



「…ADの効果が現れるのは1時間後。その間、私は感情は薄っすらだけど残ってる。本当に薄っすらだけどね。だから、最後のお願い。シン、18になるまで、病気を少しでも治して!そしてちゃんとADを受けてね」



「メグ…」



メグの言葉に彼の目からまた涙が流れた。





この時の私はまだ、子供で。

何も知らなかった。

恋というものをーーー…。