「緊張する?」
「あ、え、えっと…そりゃあ、まあ」
突然話しかけられ、びっくりした私に声を上げて笑う静愛さん。
静愛さんは私の方も見ずに運転をしている。
「まあ、今のユサリちゃんには、勉強だけが大切だもんね。私たちは、そういう時代にいるんだし…」
静愛さんには見えていないけど私はこくりと頷いた。
この世の中、勉強をしないといけない人生になっている。勉強をしないと大学には通えない。
通えなければ…仕事もない。仕事がなければ金もない。
金がなければ家族も…食べ物もない。負け組だからね。
「そういう世の中ですからね」
「うん、悲しいよね。でもそれが当たり前。うちの大学に合格したら、真っ先に入学届けだしてよね」
私は「あはは」と苦笑いをした。
