あたしは声を失った渡辺春乃。

小学生のとき、病気で声が出なくなった。

あのときは「こんな人生なんて無くなれ」なんて考えていたけど、

お母さんがくれたノートのおかげで
あたしの人生は変わり始めた。

声がなくても、会話はできるんです。




4月7日、○○高校の入学式。


いつもより早く起きて、学校へ向かった。

(今日は入学式…。友達できるといいな)

心でそう思って歩いていたら

目の前に綺麗なサクラが咲いていた。

『朝日公園』ここは小学生のとき、よく

遊んだ場所だった。


(懐かしいなー…)


そんなことを思いながら、朝日公園へと

足を運んだ……。





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オレは矢野春人。

性格は明るい少年って言われてる。

この性格のおかげで色々隠せることが出来ているんですよ。

相手が喜びそうな言葉を選んで言えば
簡単に気に入られる。

まぁ、言葉って簡単ってことだ。




今日は高校生活スタートの日。

新しい制服を着て、初日から遅れないように早めに家を出た。


「ねむい…。」

早めに起きたせいかすごく眠い。

あくびしながら、学校へ向かった。


慣れた道を歩いていると『朝日公園』に
ぼーっとサクラを見ている女の子を見つけた。

(あの子も早めに家を出たのかな。それとも、あれか、楽しみ過ぎて早めに出すぎちゃったとか?笑)


その子を見ながら、思って心の中で
笑っていた。




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そのときはほんの軽い気持ちだった……。


君と話す前は、簡単に考えすぎていた。


また、いつも通りやり過ごそうと思っていたのに………。


君は今まで会ったことのない人だった。