「桜ちゃんはさ、バレー辞めたいって思うことある?」 「……別にないけど」 「そっか」 桜ちゃんはリベロ。 バレー人口の中では高くない身長で、バレーにしがみつく為にはリベロしかなかった。 小学生の頃の男女混合のチームでは、俺がセッター、桜ちゃんがアタッカーとして、上級生すら負かしていたのだけど。 「俺、バレー辞めるよ」 「好きにしたらいいよ。あんたはよく頑張った」 桜ちゃんに言われて、また泣いた。 桜ちゃんは泣いてる俺を茶化すことなく、泣き止むまで黙って待ってくれた。