ピンポーン
ガチャ
「雅ちゃん待ってたよ‼」
「塩崎さん今日からお世話になります」

鈴木雅高校一年生。両親が事故で亡くなり今日から父親の知り合いの塩崎さんの家にお世話になることに。

「雅ちゃん部屋は2階の右側の部屋使ってね」
「ありがとうございます」

部屋に入るとベットとテーブル、タンスなどの大きい家具しか置いてないシンプルな部屋だった。
送っておいた荷物を段ボールから出す。

両親が亡くなっても悲しくはなかった。ホステスとホストの間に生まれた私は、4歳になると母親が仕事に復帰するようになり一人で寝て一人幼稚園に行き、一人で幼稚園から家に帰っていた。帰ると寝ている両親。起きて夕飯を作ると仕事に行ってしまう。遊んでもらった記憶はほとんど無い。
生まれつき天才だった私は、小学校高学年に入ると自分で料理ができるようになってしまった。それに安心したのか親としての役目が無くなったのか、お金だけ渡してきて日に日に帰ってこなくなった。なので最近はほとんど顔を見てなかったのだ…。
貯金もあったし、バイトしながら一人で生きていこうと思った矢先に塩崎さんが現れて、一緒に暮らすことになった。

「雅ちゃん今日からよろしくね!」
「同じクラスの…塩崎舜」
「あっ覚えててくれたんだ!雅ちゃん誰とも話さないし覚えられてるか心配だったよ~」
息子がいるとは聞いてたけど同じ歳だったとは。しかも同じクラス。
人と関わりたくないのに。
「よろしくはできないわ…」
「雅ちゃんヒドッ…ゆっくり仲良くなれるように頑張るよ‼」
「…。」

片付けを終えて、私は夕飯を作ろうと思い階段を下りる。
「雅ちゃん片付け終わったの?お疲れ様‼」
「えぇ…。台所を借りたいのだけど…。」
「えっ?夕飯作ってくれるの?オムライスが良い!!」
「…いいわ…」

「わぁ~美味しそう‼雅ちゃん料理上手なんだね♪」