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とうとう、バレンタインデーを目前にしていた。
私は、材料とラッピングをお母さんと買いに行った。
特設コーナーを歩く中、私よりもはしゃいでいたのは、お母さんだった。
「これ、かわいいんじゃないかしら?」
『ちょっと、かわいすぎないかなぁ?』
バレンタインデーにチョコを手作りするのは、あれから一度もなかった。
なんとなく、あの頃の気持ちを思い出してしまうのが嫌で。
市販のチョコを買って、たまちゃんや友達と交換していた。
「武藤くんには、この袋がいいんじゃない?」
お母さんが差し出してきたのは、大きなハート柄の手提げ袋。
『……武藤くんはただの友達だよ。それじゃあ本命みたいでしょ』
お母さんは、武藤くんが好きだから。
武藤くんに渡すのも、友達に渡すのと同じ。
そんな私を、つまらなそうにお母さんは見てきたけど気にしなかった。
