だから、誰も触れなかった。
ううん…今も、誰も触れてこない。
暗黙のタブーだった。
「……あんたのそういうとこ、マジでむかつく」
『たまちゃんっ』
たまちゃんは、玄関まで走っていってしまった。
「あのさ、」
『わかってる…から…ちゃんと、わかってるから』
「…」
武藤くんは、たまちゃんを傷つけるために、言ったわけじゃない。
私にとっても、たまちゃんにとっても
ずっとこのままの状態でいることがお互いのためにならないことはお互いにわかってる。
でも、お互い相手に負い目があるから、何も言えない。
武藤くんが言った言葉は
本当は私が言わなきゃいけないことなんだと思う。
それを、武藤くんが言ってくれただけ…。
