ホワイトデーの奇跡【完】




「蒼井、手出して」


『……どうして?』


「いいから、ほら」



そんな状態の私と、武藤くんとの“友達”まではいかない関係は不思議なものだった。



『……う、うん』



控えめに手を差し出すと

私の手のひらに武藤くんがポトッと何かを落とした。



「お詫び」


『…かわいい……これ』



私の手のひらに、小さな白いうさぎが乗っていた。



「消しゴム。妹にもらったけど、さすがに恥ずかしくて使えない」


『……えっと…私に…?』


「似てるだろ。蒼井に」


『それって……小さいって…こと?』