ホワイトデーの奇跡【完】




『…あ…うん…バニラの香りがする…消しゴムなの』


「へー」


生まれつき色素が薄いみたいで、髪の毛も瞳もきれいなブラウン。

背が高くて、小さな顔。

絵にかいたような美形で、なおかつスタイルもいいから

入学当時から他のクラスの子が覗きにくるほど武藤くんはモテる。

そんな武藤くんも、たまちゃんと同じく、1年生の頃から私と同じクラスだった。



「なんか、蒼井みたい」


『…ん?』


「甘くてふわふわしてる感じ」


『……そ、そうなの?』



ふわふわって…私、そんなに浮いてないんだけどな…。



「うん。蒼井って、食ったら甘そうじゃん」


『…私…食べ物じゃないよ…』


「あれ、そうだった…?」


『…そうです…もうっ』



武藤くんは、不思議な男の子だった。