ホワイトデーの奇跡【完】




「さくら、帰ろっか」


『うん』




それは、私も同じ。

そろそろ、歩みの速度を早めないと…って。



今年に入って、私が漠然とそう感じたのも

きっとそういう焦りからなんだろうな…。



子供でいられる時間が、道が

どんどん短くなっているように感じたから。



それに気づいたとき

自分の今の状況に対して

大きな危機感と不安を感じずにはいられなかった。






生徒玄関で靴を履き替えていると

階段から武藤くんと、どこか見覚えのある男の人が降りてきた。




「蒼井、もう帰るの?」




武藤くんも私に気づいたようで、こっちまで歩いてきてくれた。