「はい、そこ。近づきすぎ、さっさと離れなさい」
鈴木くんと私の間にスッと、スマートに入ってきたのは…。
「圭、邪魔すんなよー!」
「いや、邪魔するでしょ。ほら、さっさと帰れ」
「チェッ…」
武藤くん…。
まだいたんだ…良かった。
武藤くんの姿を見た途端に、緊張の糸が緩まったのがわかった。
「蒼井どうしたの一人で、まさか迷子?おかーさんは?」
武藤くんは鈴木くんを完全に無視して、私に尋ねる。
そんな武藤くんに、鈴木くんはとぼとぼと教室の中に入っていった。
迷子って…。
鈴木くんといい…
でも、それくらい一人になってないってことなんだよね。
周りから見ても、誰かがいないと何も出来てないってことだよね…。
『迷子、じゃないよ…用事があって』
鈴木くんと話していたときのような焦るような緊張感はもうなくなった。
武藤くんに緊張しないわけじゃないけど
ちゃんと喋れてるかなっていう緊張感。
「用事? 宮本は?」
『…玄関で、待っててもらってるの』
「へえ…珍しいね」
珍しいんじゃない…初めてだよ…。
なんて言ったら、きっと呆れるよね。
