「麗美と同じです」
「…同じ?」

首を傾げると、修二さんが頷いた。

「自分を偽っていた…そう言えば分りますか?」
「・・・?!」

その言葉を聞いてピンときた。…私と同じ、会社では、猫をかぶっていた。本当の自分は、隠して、作り上げた自分を演じていた。

「柄にもなく自分の事を僕と言って、敬語だけで会話してた」

そう言って、修二さんは苦笑いした。

「…本当の俺を知っていったら、麗美は、俺の事嫌いになる?」

その問いに、私は何度も、首を振って見せた。そんな事くらいで嫌いになるわけがなかった。

私を見た修二さんは、ホッと溜息をついた。そして、私をしっかりと抱きしめる。


「…良かった。自分のすべてを受け入れてもらうって、案外勇気がいるな」

そう言って困ったように笑う。

「…私もそうでしたよ。素の自分を、初めて修二さんに見られた時は、自分の積み上げてきたものが壊れるんじゃないかって怖かった」

「・・・そうだったのか?俺は、前の麗美より、今の麗美の方が、もっとずっと好きになったよ」

少し体を離した修二さんは、私の頬を優しく撫でた。

…言葉使いが変わっただけで、根本的な事は、何一つ変わらない修二さん。…修二さんは、本当に優しい。それに尽きる。


「もっと、もっと、色んな修二さんを知りたい」
「…俺も同じ気持ちだよ」


・・・そこには常に、2人の愛があるから。