今まで、ずっと疑問になっていた事を、問いかけている最中、私の左手を取った修二さんが、薬指に、キラキラと輝くダイヤの指輪をはめた。

驚いて、固まってしまう。

「…婚約したと言うのに、婚約指輪もあげていませんでしたよね。遅くなりましたけど・・・これをはめていてください」

その言葉にハッとして、修二さんの方を見た。

「…こんな高価な指輪、私にはもったいないです」

私の言葉に、修二さんはフッと笑った。

「言うと思いましたよ」
「・・・え?」

「これでも、大分安い物を探したんですよ?麗美にとても似合ってます。…それに、俺達が婚約したと言う証なんですから、何も言わず、受け取ってもらえませんか?」

「・・・」

・・・ね?

いつものように、優しくそう言った修二さん。

…そうよね。好きな人からの贈り物だもの。…大事な婚約指輪。素直にお礼を言って受け取ろう。

「…修二さん、ありがとうございます・・・大事にしますね」

そう言って微笑むと、修二さんは、満足そうに頷いた。

「麗美は、なんでも大事にものを扱ってくれるのは、仕事の時から知ってますから。俺は安心してますよ」

「…修二さん」

「・・・ん?」

「何で自分の言い方が、『僕』から、『俺』になったんですか?」