「…お待たせしました」

車に乗り込み、麗美に微笑んでみせる。…だが、麗美の顔には、不安げな表情が浮かんでいた。

「修二さん、何を話されてたんですか?」

真っ直ぐに俺を見つめて。

「…仕事の話しを少し」

そう言って微笑めば、麗美は安堵したように溜息をつき、穏やかな顔つきになった。

…麗美にとっては、知られたくない過去、なんだろうか?

…まあ、俺としても、元カノと麗美が再開すれば、よからぬ事を考えられたらいやだとは思う。

「…麗美」
「…なんですか?」

「週末まで、待てそうにないんですが、僕の家に来ませんか?」

優しく問いかけると、ちょっと驚いた麗美だったが、頬を染め、はにかんで頷いた。

リビングに入り、振り返ったと同時に、俺は麗美をギュッと抱きしめた。

麗美もそれに応えるように、俺を抱きしめ返してくれた。


「・・・修二さん」

耳に響く、甘い声。

「麗美、麗美は、誰のモノでしたか?」
「・・・え?」

唐突な質問に、少し体を離して、俺を見上げた麗美。

「…確認です」

「…口に出さなくちゃいけませんか?」

そう言いながら、見る見るうちに顔を赤くする麗美。

・・・あぁ、こんなかわいい顔は、俺の前だけでして欲しい。


「…麗美」

優しく名前を呼ぶと、麗美は俺にまた、ギュッと抱きついた。

「…貴方の…モノですよ」