「…驚いた。…西崎君、こんな所でどうしたの?」

私に声をかけてきたのは、部下の西崎君だった。

「…あの店に、スーツを買いに来てたんです。有藤主任は?」

「…え、あの」

藤岡部長の事忘れる為にショッピング中なんて、言える筈もなく。

「…久しぶりに街をブラブラ?」

と言って誤魔化した。

「…一人ですか?」
「ん?ん〜、そうだけど」

「…特に予定がないなら、一緒にショッピングしませんか?」

「…え?…あ、西崎君⁈」

キョトンとした私の手を、ニコッと微笑んだ西崎君は、優しく握りしめると、歩き出してしまった。

驚いた私の事なんて、お構いなしに。

「ちょっと、どこ行くの?」
「有藤主任は甘いもの好きですか?」

「…え?…好き、だけど」
「良かった」

それだけ言うと、どんどん街中を進んでいく。

ついた所は。