…あんまり優しいから、また、涙が溢れてきた。

…どうして藤岡部長は、こんなに優しいんだろう。

…頑なに、自分の殻に閉じこもっていると言うのに、藤岡部長はいとも簡単に、私の殻を破ってしまう。

「…すみません、泣いたらスッキリしました」

俯き加減で呟いた。

「…すみません、じゃなくて、ありがとう、じゃないんですか?泣くのは悪い事じゃありませんよ」

そう言って、私の頭を優しく撫でた。

「…もう、泣きませんから」
「僕にくらい、弱味を見せたって、バチは当たりませんよ」

その言葉に首を振る。

「…僕の傍に居てください。貴女を守りたい」

「…藤岡部長は、嘘つきです」

「…なぜ?」

「…藤岡部長は、誰にでも優しいから」

悲しげに微笑むと、藤岡部長から離れて、会議室を出て行った。