「…でも」

そこで、私は反論出来なくなる。修二さんが私の唇に指を押し当てたから。

「麗美が仕事を好きな事は知ってる。でも、もう一人の体じゃないのはわかるだろ?」

その言葉に頷く。…私のお腹の中には、大事な赤ちゃんがいる。

…そっと、お腹に手をやると、修二さんの手も、その上に置かれた。

「…仕事は萩原君に一任しても、もう問題ない。もう一人で頑張らないで、周りを頼ろうか、麗美」

「…はい。私…」
「…ん?」

「…本当は怖かったんです。誰かに頼る事が…一度頼ると、甘えて、ずっと頼りっぱなしなるんじゃないかって」

「…ずっと甘えればいい」

その言葉に驚いて、目を見開く。

「男は、好きな女に甘えられれば嬉しいんだよ。頑張る麗美も好きだけど、もっと、甘えてくれたらいいのにって、ずっと思ってたんだ」

その言葉に、思わず目頭が熱くなる。それに気付いた修二さんは、私の頭を優しく撫でた。