それでも私は自分の気持ちを伝えようと思った。
たとえそれが、桃にとって辛い言葉だとしても…。
「そっか…。
それじゃ友達だと思ったことないっていうのは、あながち間違いではなかったんだね。」
「…うん。」
あの言葉は結構パンチ効いてたな。
真意がわかった今でも胸が痛む。
「桃が、そういう風に思ってくれてたなんて知らなかった。
…私の知らないところでいっぱい傷ついていたと思う。
その気持ちに気づけなくてごめん。」
「私がそうしたかったからいいの。
謝らないで。」
「…それもそうだね。
あと桃の気持ち、素直に嬉しい。
私、今まで告白されたことなかったし。」
「それは私が全力で阻止してたから。」
「そこも根回ししてたとはね…。」
まさかの暴露に思わず笑ってしまった。
私は桃に守られていたんだな。
「怒らないの?
夏美のこと取られたくなくて、邪魔してたのに。」
「別に怒らないよ。
むしろ感謝してる。
知ってるでしょ、めんどくさいことは嫌いなの。」
「…そうだったね。」
そう言いながら、桃は微笑んでくれた。
…やっと笑ってくれた。
桃には笑顔が似合うし、笑ってくれないとこっちが困る。
「その気持ち、捨てずに取っておいてくれてありがとう。
伝えてくれてありがとう。
こんな私を好きだと言ってくれて…ありがとう。」
「夏美…っ。」
ああ、そんな泣きそうな顔しないで。
今からの言葉のほうが、桃を傷つけてしまうのだから。
それとも、もうわかっちゃったのかな…
これから言うことが桃にはわかっちゃったのかもしれない。
「桃、ありがとう。
でも、ごめん。
桃は私の友達だ。
それ以上にも、それ以下にもならない。」
「…うん。…グスッ」
「桃は私に一番になれないって言ったけど、そんなことない。
私の中で宮田桃華は、たしかに
一番の
最高の友達だよ。」
「うん…うん、ありがと、夏美…。
どこまでも優しいな、もう。
こんなこと言われたら諦められないよ…。」

