拓也は駅に放置し、私たちは近くの公園へと向かった。
…放置はかわいそうだって?
そんなことはない。
あいつにはこれくらいがちょうどいいんだ。
「「…。」」
公園までの道のり、私たちは話さなかった。
いや、正確には話せなかったのだ。
頭の中でそれぞれ話すことをまとめていたから。
公園のベンチに2人並んで座ったが、無音の状態が続く。
知らない人が見たら、変な光景なんだろうな…。
「今夏美が考えてること、当ててあげようか?」
「え?」
桃の言葉に驚く私。
思わず隣を見ると、目が合った。
その表情はいつも通りの桃だった。
「女が2人、無言でベンチに座ってるなんて
知らない人が見たら、変な光景だろう、でしょ?」
「…正解。」
よくわかったな…
何年も一緒にいるだけある。
さすがだな。
「ふふっ、さすがでしょ。」
またもや私の考えを読まれてしまった。
もしかして桃はエスパーなんじゃ…?
「先に言っとくけど、私エスパーじゃないからね。」
「…なんでこうも私の考えてることがわかるんだ。」
「わかるよ、何年一緒にいると思ってんの。
…何年片想いしてると思ってんの。」
「…え?」
片想い?
誰が、誰に…?
「やっぱり鈍感な夏美さんは気づいてなかったかー。」
おどけた口調だけど、無理して笑ってるのがわかった。
そして今から言うことが桃にとってどれほど重大であるか、悟った。
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる桃。
そして語りだした。
「私…
夏美のことが好きなの。
友達としてじゃないよ。
…恋愛対象として。」

