二人の様子に構わず話を続ける。
こういうときだけ饒舌になるの、どうにかしたい。
どんどん出てくる言葉は止まらない。
「二人がどうなろうと私の知ったことじゃない。
桃は友達じゃないし
高野くんはただのクラスメイトだし。
だからどうでもいいけど、めんどくさいことに私を巻き込まないで。」
こんなことを言いたいんじゃなかった。
おめでとう、とか
両想いなんて奇跡だね、とか
キレイな言葉を言ってあげたかった。
でも、
どうやら心の中は怒りや嫉妬で渦巻いているようだ。
「まぁ、とりあえずお幸せに。」
そう吐き捨てると、私は教室を出ていった。
後ろで二人が私の名前を叫んでた気もするけど、
もう何も聞きたくなかった。
今何か言われても、嫌味に聞こえてしまう。
これ以上、傷つきたくないの。
心の整理ができたら、そのときは笑って
「おめでとう。」
って言うから。
それまではバイバイ。
私は家に帰り、旅行用の鞄に洋服とかお金とか最低限必要なものをつめると、誰にも何も言わずに家を出た。
どうしても一人で考えたかった。
家から駅まで歩いてる間、どこに行こうか考える。
ホテルに籠ってもよかったけど、どうせなら知り合いがいないようなところへ行きたい。
あ、あそこなら…
ふと思いついた場所は少し遠いけど、私が一番落ち着くところ。
しばらく行ってなかったし、丁度いいや。
迷わずそこに決め、電車に乗った。
短い旅のはじまりはじまり。

