「あー、えっと、これはですね…」


言い訳しようにもこの様だから何も言えない。

でも何か言わないと、そっちのほうが怖い…

まるで母親に怒られてる子供みたいな私。


「へぇー、こんな状態でもまだ言ってくれないんだ?」


「言えないわけじゃないけど…。」


「けど、なに?」


「どこから説明すれば…。」


「そんなの全部に決まってるでしょ!

最初から包み隠さず話して!!」


やばいやばい。


ここで説明するのめんどくさいとか言ったら

殺される…。



「宮田さん、そこまでにしてあげたら?」


救いの手を差し伸べてくれたのは毎度おなじみ、高野くんだった。

ありがたい…けど、今の桃には通用しない。



「でも!

こんなにケガしてるのに、無理にリレー出て!

走り終わった瞬間に倒れて!

救急車がきて病院に運ばれて!


何も聞かされてないこっちの身にもなってよ!!」


…ごもっともです、桃さん。

たしかに今回は私が悪い。

(…いつもかもしれないけど、今そのことは考えない。)

何も言わずに1人で抱え込んで。

結局みんなの迷惑をかけてしまった。

これじゃ本末転倒だ。



「それはそうだけど、青山さんだって起きたばっかなんだし。」


「高野くん、大丈夫だよ。ありがと。

桃の言う通り、何も話してなかったから余計に心配させたよね。

ごめん。

ちゃんと話すから。」


「…。」


「悪いんだけど、高野くんは席はずしてもらってもいい?

2人できちんと話したいから。

高野くんにもみんなにも迷惑かけたのはわかってるけど…どうしても今は桃と話したい。」


「…わかった。

何かあったら呼んでね。」


そう言うと静かに病室から出て行った。

私のわがままにまで付き合ってもらって申し訳ない。

後でちゃんとお礼言わなきゃ。