「位置について、よーい…パァン！」
ついに始まったクラス対抗リレー。
予想通り杏ちゃんは１位できてる。
さすがだな。
ぐんぐん前へ出ていく。
…あの中だと一番きれいなフォームだ。
古賀へのバトンパスは難なく成功。
古賀は２位にどんどん差をつけていく。
盛り上がる応援席。
ついにやってきたこの瞬間。
「青山ちゃん！」
パシッ。
しっかりバトンを受け取った。
「いっけぇーーー！」
走る。
走る。
ただひたすら前へ。
風と共に前へ。
走っているあいだ、不思議とケガの痛みはなかった。
『何かあったら、俺が挽回するから』
きっとその言葉が私に勇気を与えてくれている。
走った先に見えてきたあなた。
「青山さん！頑張れー！」
そう言って応援してくれるみんなのために。
走る。
「高野くんっ！」
パシッ。
