めんどくさがり系女子の恋愛事情




この女、どこかで見たことあると思ったら

「この間の、彼氏とったって喚いてた女…」


あ、しまった。

また心の中の言葉を口にしてしまったみたいだ。

目の前の女は顔を真っ赤にしている。


「な、なによその言い方!!

てか、私の名前は渡辺明美!」


あー、そんな名前を桃が言ってたなぁ。

1週間くらい前の話か…懐かしい。


「…えーっと、渡辺?さんが私に何の用ですか?

また彼氏の話ですか?

この前の言いましたけど、あなたの彼氏なんて知らな」


「そのことじゃないわよ!」



…じゃあ、一体何のことなんだ。

この人に怒鳴られる理由はそれ以外に思い浮かばないんだけど…。



「あんた、最近高野くんと仲がいいらしいわね。」


「…は?」


「とぼけないで!

あんたと高野くんが仲よく話してるところを見たって子、いるんだからね!?」


いや、さっきのは?はそういう意味じゃなくてですね…

あーもう、めんどくさい。



「そりゃ同じクラスだし、リレーのメンバーだし話すでしょ。」


私は正論を言ったのだが、どうやらそういうことではないらしい。

その証拠に真っ赤になった顔をさらに赤くしている。

…あなたの顔はどこまで赤くなるんですかね?

てか、血管切れないのかな。



「そういう問題じゃないのよ!

あんた、人の彼氏とった挙句、みんなの高野くんを独り占めして!

どういうつもりなのよ!」


…???

ますます意味がわからない。

そもそもあなたの彼氏とってないし。

それに、みんなの高野くん、てなんだ?

その言い方にイラッとする。



「前にも言ったけど、人のこと物扱いするなって。

高野くんはみんなの物じゃない、彼は彼だ。」


「うっさいわね!

私が言いたいのは、高野くんに近づかないでってこと!

あんたなんかが一緒にいていい人じゃないのよ!」


…なんだそれ。

高野くん本人に近づかないでと言われるならわかるけど


「なんであなたに指図されなきゃならない?

私が誰といようと私の勝手だろ。」



「あーもう、話の通じない子ね。

あんたはつべこべ言わず、『私は二度と高野くんと話しません』って誓えばいいのよ!

今まで通り、宮田桃華と2人で仲よくしてればいいの!!わかった!?」