「はぁー笑った笑った。」
「うん、こんなに笑ってる青山さん初めて見た。」
ポツリとつぶやく高野くん。
たしかに桃といるときでさえ、ここまで大笑いしたことはないかも。
私の表情筋はあの時に動かし方を忘れてしまったのかと思ってたけど、
「私ってまだ笑えたんだなー…。」
「「え?」」
あ、やば、声に出てた。
最近思ったこと口にしちゃうの多いな。
気をつけないと。
「何でもない。
それよりそろそろ教室戻ったほうがいいんじゃない?」
「あ、結構時間やばいな!」
「急げ、1時間目は数学だぞ!」
「まじか!俺宿題やってねー!!
修也、見せて!」
「はいはい。」
…うまく話をそらせたな。
笑顔から真顔に戻しながらふとそんなことを思った。
高野くんも古賀くんもいつもの2人に戻っている。
今の言葉、聞こえてないといいな。
ぼけーっとしていると、今にも走りだそうとしている高野くんは振り返って私に聞いてきた。
「俺ら先に戻るけど、青山さんは?」
何をいまさらそんなこと。
答えは決まってるじゃん。
「サボる。」
「さすが。」
ふっ、と笑った高野くん。
目が合った瞬間、心臓がドクッと動いた。
何回か見ている高野くんの笑顔だけど、今のはいつもより優しく微笑んでいる気がする。
じゃあまた後で、と言いながら2人は走っていったが、このドキドキはおさまってはくれない。
「何これ…。」
そうつぶやいた私の横を風が静かに通り抜けた。
…めんどくさがりな女の子の恋のはじまり。

