妖精の国 ~アルヴヘイム~ Ⅰ



ティアナがロッキングチェアに向かって本を読もうとしたとき、茶色のドアから“コンコン”とノックがなった。


ティアナはドアに駆け寄り、そっとドアを開けた。


目の前には兵隊らしき赤毛の男、サラマンダーが3人いた。


真ん中の男は横にいる2人とは違う高級そうな服を着ていたのでリーダーとティアナは思った。


「お前が、ウンディーネのエルフか?」


リーダーらしき男が言った。


ティアナの家の者たちはみな、ウンディーネだった。水魔法が得意とする種族。もちろんティアナも水魔法を使える。だが、羽を持たない妖精は周りから蔑(さげす)まれ、奴隷として主人のペットのように扱われる。


「どちら様ですか?」


ティアナは顔をひきつりながら言った。


「お前に名乗るほど落ちぶれてない」


サラマンダーのリーダーらしき男はフッと笑って言った。