ティアナがロッキングチェアに向かって本を読もうとしたとき、茶色のドアから“コンコン”とノックがなった。
ティアナはドアに駆け寄り、そっとドアを開けた。
目の前には兵隊らしき赤毛の男、サラマンダーが3人いた。
真ん中の男は横にいる2人とは違う高級そうな服を着ていたのでリーダーとティアナは思った。
「お前が、ウンディーネのエルフか?」
リーダーらしき男が言った。
ティアナの家の者たちはみな、ウンディーネだった。水魔法が得意とする種族。もちろんティアナも水魔法を使える。だが、羽を持たない妖精は周りから蔑(さげす)まれ、奴隷として主人のペットのように扱われる。
「どちら様ですか?」
ティアナは顔をひきつりながら言った。
「お前に名乗るほど落ちぶれてない」
サラマンダーのリーダーらしき男はフッと笑って言った。

