桐谷くんは冷めた目つきで私を見ている。
昨日のような優しい雰囲気はどこにもない。
「つーかさ、俺がこんな女と付き合うわけねーじゃん。変な噂たてんなよな」
周りに聞こえるように言うと、ため息をついて椅子に座った。
どこからかヒソヒソと声が聞こえてくる。
『やっぱデマだったんじゃん』
『蒼空が榎本さんと付き合うなんてありえないもんね~』
『心配して損したー!!』
桐谷くんのことが好きな女子達から笑い声が聞こえてくる。
ヤバイ…泣いちゃいそう。
「ご、ごめん…ちょっとトイレ…」
その場にいられなくて、教室を飛び出した。
後ろから翠に呼ばれたけど、振り返ることができなかった。
私の目には今涙がたまっていて。
どうしてこんなにショックなんだろう。
今までの私ならこんなこと気にしなかった。
ただムカついてそれで終わりだったはずなのに。
桐谷くんの冷たい目を見たら、なんか悲しくなった。



