「おい待てよ、せめて俺のさっきの質問には答えろって」
その言葉に、桐谷くんは足を止めて振り返った。
「一緒に帰ったけど、それがなに?」
冷めた目で先輩を見る。
桐谷くんらしくない。彼はいつも笑顔で、周りには愛想が良いのに。
先輩と仲良いんじゃないの…?
「…かわいくねぇやつ」
「俺用あるから」
そう言って、スタスタと行ってしまった。
「あいついっつもあんな態度なんだよね~。俺嫌われてるっぽい」
先輩がハハっと軽く笑う。
こんなに優しい先輩を嫌うなんて…ありえない。
あいつの根性がひんまがってるからでしょっ
「蒼空と仲良いの?」
「い、いえ!同じクラスなだけです!」
「そっか。あいつには気を付けた方がいいよ、女関係はひどいから」
「はい…大丈夫です」
昨日ちょっと一緒にいただけでそれはよーくわかった。
気を付けなくても、私が桐谷君に好意を抱くことはまずない。
だって私が好きなのは…