「桐谷くん、ここでいいから」


「家まで送るけど」


「本当にいいの!送ってくれてありがとう!」


気持ちがこもってない棒読みのセリフを言い、一礼してから今度は追いつかれないように猛ダッシュで走った。


足だけは自信ある。


昔よくリレーの選手に選ばれたもんだ。


っていうのはどうでもいいんだけど。



桐谷君…めっちゃ腹黒いし!


世界中の地味子を敵に回したよ!?


きっと家まで送らずにすんだぁとか思って、胸を撫で下ろしてるんだろーな。


騙されてる学校のみんながかわいそう。


アイツの本性なんてバレればいーのにっ!


私は荒々しく家の門を開けた。