「桐谷は成績もよく、先生たちからも生徒たちからも人気があった。俺は…俺の学生時代は桐谷とは正反対で。真面目でネクラで、成績だけは良かったが人と関わるのが苦手だった。いじめられたこともある。そんな自分を変えようと教師になって明るく振舞った。でも…桐谷を見るとどうしても昔の自分を思い出してしまうんだ。あの頃いじめられてた奴に似てたから…」
先生…あんなに生徒から人気があったのに…。
「そんなとき榎本と出会って。最初はただの生徒だったのに話をしていくうちにいつのまにか榎本に惹かれていた。一緒に話していると楽しくてな。だから2人が付き合ってることを知ってショックだったんだ…」
「てかさ。そんな好きな奴に怖い思いをさせるとかって最低なんですけど」
蒼空がそう言うと、蒼空のお母さんが「コラッ余計な事言わないの!」と慌てていた。
松林先生がフッと笑みを見せた。
「そう…だな。俺は結局自分が一番可愛かったのかもしれない。榎本に振り向いてほしいがために、あんな目に合わせて偶然助けるふりをした。…最低だよな」
あの時のこと、今でもよく覚えている。
先生が来てくれた時、本当に嬉しかった。
すごくホッとしたんだ…それなのに。
「先生…私、松林先生の事尊敬してました。一人一人の生徒の話をいつも熱心に聞いていて、どの先生よりも生徒のこと理解しようと、常に生徒と同じ目線でいた。そんな先生が好きでした。でも…こんなこと許されることじゃありません。二度としないでくださいっ…」



