―――SIDE 彩―――




昼休み、渉君が勢いよく教室のドアを開けた。


こんなに慌ただしい様子の渉君は初めてで、私はなんだか変な胸騒ぎがした。



「や、やばい…蒼空が…」


走ってきたのか、息を切らしている。



「蒼空がどうした!?」


翠がそう言って立ち上がると、クラスのみんなも渉君の言葉に耳を傾けた。



「3組の奴を殴って…」


私はとっさに教室を出て3組へ向かった。



「彩っ!!」


後ろから翠の声が聞こえたけど、振り向いてる余裕なんてなかった。



蒼空は―――


蒼空はあのことを知ってるんだろうか―――



3組は反対側の校舎で、走っても辿り着くのに少し時間がかかる。


足が震えていたせいか、もつれて転びそうになった。


角を曲がると人だかりができていた。


そこの中心にいたのが蒼空で…


蒼空は男子生徒の上に馬乗りになっていた。